法律情報121号: 外国籍の親を持つ子どもの氏名に「ベトナム語+外国語」の併記を可能に ― 法務省が新たなガイドライン案を提示
2025年10月03日
ハノイ発 — ベトナム法務省はこのたび、「国籍法」の施行細則案において、外国籍の親を持つ子どもに対し、ベトナム語と外国語を組み合わせた氏名の登録を認める新たな方針を打ち出した。
この提案は、グローバル化が進む中で増加している国際的な家族構成に対応し、国籍取得および氏名登録の柔軟性を高めることを目的としている。
国籍法第16条第2項に基づく指針:出生登録と国籍の取り扱い
案文では、「ベトナム国籍法」第16条第2項の規定に基づき、以下のような運用ガイドラインが示されている:
ベトナム人の親がいる場合の国籍の選択
・父または母のいずれかがベトナム国籍を有し、もう一方が外国籍である場合、
・出生登録時に両親の合意のもとベトナム国籍を選択すれば、子どもにはベトナム国籍が与えられる。
すでに外国籍を取得している場合
・外国の権限ある機関で出生登録され、外国籍を有している子どもも、
・両親の合意があり、ベトナムの戸籍簿に記録された場合にはベトナム国籍が認められる。
・この際、外国籍の保持が当該国の法制度に違反しないことが条件であり、両親はその適法性を誓約書で証明し、責任を負う必要がある。
両親が合意に至らない場合
・両親が国籍について合意できなかった場合は、いずれかの親が「合意に至らなかった」旨を記した誓約書を提出することで手続きが可能となる。
氏名に関する新たな選択肢:「ベトナム語+外国語」の複合名
今回の案では、ベトナムで出生登録され、ベトナム国籍と外国籍の双方を持つ子どもについて、氏名にベトナム語と外国語を組み合わせた“複合名”の使用が可能になるとされている。
これは、国際的な家庭環境に配慮しつつ、法的な身元確認の正確性も保つための措置である。
背景と今後の展望
この提案は、ベトナム国籍法第16条第2項の解釈と実務運用を明確化することを目的としており、特に外国籍の親を持つ子どもにとって、国籍取得と出生登録のハードルを下げる狙いがある。
また、すでに海外で出生登録されている子どもが後にベトナムの戸籍に記録される際、ベトナム国籍の取得が可能となるよう、法律手続きと実務処理の簡素化を図るものでもある。