新年度が始まると、多くの企業は予算、人員体制、事業計画の見直しに着手します。中でも、労働契約書の更新は、法令遵守、人件費、そして事業の安定性に直結する重要な課題です。実際、雇用契約を更新できるのか、労働契約書を更新しないことは違法なのか、定期的な昇給時に新たな契約を締結する必要があるのかなど、多くの企業がこれらの疑問に頭を悩ませています。

本稿では、企業が年初の雇用契約見直しを行う際に、関連する法令を理解し、適切な解決策を見出すための情報を提供します。

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2026 Update: Employment Contract Renewals — Wage Adjustments, Expiration, and Non-Renewal Protocols - Intro Image

1. 雇用契約の更新について

人事管理の実務において、「労働契約書の更新」とは、旧契約の満了が近づいている、あるいは既に満了した従業員を引き続き雇用することを意味すると理解されがちです。しかし、法的な観点から見ると、「更新」という用語は誤解されやすいのが実情です。現行の法令によれば、有期労働契約が満了する場合、企業と従業員は単に旧契約の期間を延長するのではなく、以下のいずれかの手続きを踏まなければなりません。

  • 新たな労働契約を締結する。
  • 法令の規定に従って、無期労働契約に切り替える。

したがって、企業は労働契約書の更新の有無を検討する際、これを「新たな契約を結ぶか、無期契約へ切り替えるか、あるいは法令に従って雇用関係を終了するかを選択するプロセス」として捉えるべきです。

2. 労働契約は自動更新されますか?

これは、企業と従業員双方からよく寄せられる疑問です。

有期労働契約が満了し、従業員が引き続き勤務する場合、両当事者は契約満了日から30日以内に新たな労働契約を締結しなければなりません。新たな契約が締結されるまでの間、権利義務は以前の契約に基づき継続されます。30日以上経過しても新たな契約が締結されない場合、締結済みの有期労働契約は「無期労働契約」に移行します。さらに、両当事者が新たな有期労働契約を締結できるのは「1回限り」です。その後も従業員が引き続き勤務する場合、無期労働契約を締結しなければなりません(一部の例外を除く)。

したがって、原則として労働契約書の自動更新が行われることはないと言えます。契約満了後も雇用関係を継続したい場合、両当事者は新たな契約締結の手続きを行わなければなりません。ただし、法的に自動で効力が変わるケースも存在します。前述の通り、有期労働契約の満了後も従業員が勤務を継続し、30日以上経過しても新たな契約が締結されない場合、その契約は自動的に無期労働契約へと性質が変わります。

つまり、「労働契約は更新できるか?」という質問に対する適切な回答は以下のとおりです。雇用関係は継続できますが、規定に従って適切に処理する必要があります。これは、既存の契約を恣意的に延長できることを意味するものではありません。企業は、予期せぬ契約形態の変更(意図しない無期契約への移行など)を避けるため、期限を厳守する必要があります。

3. 企業が理解しておくべき労働契約の種類

労働契約書の更新の有無を判断するにあたり、現行法で認められている契約の種類を理解しておくことが重要です。 2021年施行の改正労働法(2019年労働法)により、季節労働契約は廃止され、現在の労働契約は「有期労働契約」と「無期労働契約」の2種類のみとなっています。

📝 有期労働契約

更新を検討する必要がある最も一般的な契約です。期間は最大36ヶ月まで設定でき、満了時に企業は以下のいずれかを決定する必要があります。

  • 新たな有期労働契約を締結する(1回限り)
  • 無期労働契約に切り替える
  • 労働契約書を更新しない(雇用関係の終了)

📝 無期労働契約

この契約には明確な終了日が定められていないため、期間満了に伴う更新の手続きは不要です。組織内で安定した役割を担う長期雇用者にとって適切な選択肢となります。

📝 1年未満の短期契約について

プロジェクトベースの業務などにおいて、雇用契約書を1年ごとに更新するケースも見受けられます。この場合も有期労働契約に該当するため、更新回数(最大2回まで)の制限に注意が必要です。労働契約書を毎年更新するといった運用は、法律違反となるリスクが高いため注意が必要です。

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4. 企業はいつ雇用契約を更新すべきでしょうか?

すべての契約満了時に無条件で更新する必要はありません。労働契約書の更新の有無は、人事、予算、人材育成戦略といった全体的な文脈の中で検討されるべきです。

【契約を更新すべきケース】

  • 従業員が職務要件を十分に満たしている
  • 業務遂行能力が安定しており、KPIに合致している
  • 現在のポジションが新会計年度においても維持する必要がある
  • 企業が経験豊富な人材、または代替不可能な人材を確保したい
  • 従業員に長期的な成長の可能性がある

【無期労働契約への切り替えを検討すべきケース】

  • 有期労働契約の法定更新回数(1回)に達した
  • 企業が安定した、高度なスキルを持つ人材を長期的に確保・育成したい

【労働契約書を更新しないケース】

  • 組織再編や技術革新により、その職務要件がもはや存在しない
  • 従業員が職務要件を満たしていない
  • そのポジションが新会計年度の方向性に合致しなくなった

5. 定期的な昇給には新たな雇用契約が必要ですか?

これは、企業が年初に契約を見直す際によく生じる疑問です。給与は、労働契約書に明記しなければならない必須事項の一つです。したがって、従業員を昇給させる場合、企業は労働契約を修正・補足するか、新たな契約を締結する必要があります。これには以下の2つの方法があります。

  • 労働契約の付属書(補足契約書)の締結
  • 新たな労働契約書の締結

契約を修正または補足する場合、企業はその内容を少なくとも3営業日前までに従業員へ通知する必要があります。両当事者が合意すれば、付属書の締結または新たな契約の締結に進みます。合意に至らない場合は、当初締結された契約内容(旧給与)に従って業務を継続します。

📌 単に「昇給決定通知書」を発行するだけで十分でしょうか?

多くの企業は、手続きを簡素化するために、昇給決定通知書を発行するだけで済ませています。しかし、給与増額の決定書は雇用主が一方的に発行する文書であり、双方の署名による合意がないため、契約の付属書や新規契約書に代わる法的効力を持ちません。したがって、新会計年度の開始時に定期昇給を行う場合、より安全な法的対応は以下のとおりです。

  • 社内決定書を発行して昇給方針を記録する
  • 同時に、従業員と労働契約の付属書または新規契約を締結する

6. 人事管理におけるよくあるミス

実際には、法令に従わず慣習的に契約業務を処理しているために、不要なリスクを抱えている企業が多く存在します。よくあるミスには以下のようなものがあります。

  • 契約を更新せずに期限切れのまま放置してしまう

これにより、有期労働契約が意図せず無期労働契約に転換されてしまうリスクがあります。

  • 契約書を更新せずに給与を増額する

付属書や新しい契約書に署名することなく給与増額を決定すると、将来的に労働紛争が発生した際に、企業側が不利になる法的リスクが生じます。

  • 契約満了時に事前の書面通知を行わない

労働契約書を更新しない場合、事前の通知を怠ると従業員からの不満や労働争議につながりやすくなります。

  • 締結した有期労働契約の回数を確認していない

有期契約は「最大2回(初回+更新1回)」までしか締結できません。履歴を注意深く管理しないと、法律違反となる契約を結んでしまう可能性があります。

7. まとめ

労働契約書の更新は、特に企業が新たな会計年度を迎えるにあたり、人事管理において極めて重要な業務です。既存従業員の契約更新だけでなく、労働戦略の見直し、法的リスクの管理、そして運営コストの最適化においても大きな意味を持ちます。

企業は以下の点に留意する必要があります。

  • 雇用契約を継続するかどうかは、単に既存の契約を延長するのではなく、法令に基づいた適切な手続き(新規締結や無期転換)によって処理しなければなりません。
  • 事前の通知義務と退職金等の支払い義務を適正に履行していれば、労働契約書を更新しないこと自体は違法ではありません。
  • 定期的な昇給を行う場合、社内決定書を発行するだけでなく、必ず労働契約の付属書または新規契約書を締結する必要があります。

最初から適切な手続きを行うことで、企業は労働紛争のリスクを軽減できるだけでなく、専門的で透明性が高く、持続可能な人事体制を構築することができます。ベトナム市場での人事・労務管理に課題をお抱えの企業様は、ぜひグリーンサンベトナムにご相談ください。当社は、ベトナム労働法に基づく法的・手続き上のあらゆる問題について包括的なサポートを提供いたします。無料相談と詳細なサービス見積もりをご希望の方は、今すぐお問い合わせください。

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FAQ:契約更新に関するよくある質問

Q1. 労働契約は延長・更新できますか?
雇用関係は契約満了後も継続できますが、会社は「新たな有期契約を締結する(1回限り)」か「無期契約に切り替える」手続きを行う必要があります。新たな契約が締結されないまま30日以上経過し、従業員が引き続き勤務している場合、以前の有期契約は無期契約に転換されます。

Q2. 労働契約書を更新しないことは違法ですか?
いいえ。期間満了により契約が終了し、会社が事前の通知義務および必要な退職金(退職手当)の支払い義務をすべて適正に履行した場合、違法とはみなされません。

Q3. 定期的な昇給には労働契約の再締結が必要ですか?
はい。給与は労働契約書の必須記載事項であるため、給与を調整する際には、労働契約の付属書(補足契約書)を締結するか、新たな契約書を締結し直す必要があります。

Q4. 会社は契約の付属書を締結せずに昇給を決定できますか?
いいえ。賃上げの決定書は雇用主の一方的な意思表示に過ぎず、双方の署名がある契約付属書や新規契約書といった法的拘束力のある合意文書の代わりにはなりません。必ず書面での合意が必要です。

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Mr. Dang Bao Huan
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ホーチミン支店コンサルタント

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