近年、ベトナムは日本企業にとって、東南アジアの中でも極めて魅力的な投資先の一つとなっています。競争力のある人件費、拡大を続ける消費市場、そして改善が進むビジネス環境を背景に、多くの日系企業が現地進出を加速させています。

進出にあたっての手続きを検討する際、「ベトナムで株式会社を設立したい」、あるいは「ベトナム会社設立の手順を知りたい」といったニーズが非常に高まっていることが伺えます。しかし、ここで注意すべきは制度上の相違点です。

実際、ベトナムには「株式会社」という形態が存在しますが、日本の会社法における株式会社と完全に同等の性質を持っているわけではありません。用語の訳し方だけで安易に形態を選んでしまうと、法的な実態を正しく理解できず、不適切な経営判断につながるリスクがあります。

そこで本記事では、以下の2つのポイントを中心に整理していきます。

  1. 日本の株式会社とベトナムの株式会社(Joint Stock Company)の相違点。
  2. ベトナムにおける株式会社と有限責任会社の比較。

これらを通じて、日本企業がベトナム会社設立を検討する際、自社にとってより最適な形態を選択するための指針を解説します。

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Setting up a JSC in Vietnam: Comparisons with LLC and Japan's JSC - Intro

1. ベトナムで日本の株式会社と同じ形態の会社を設立できるか?

ベトナムでの株式会社設立を検討する際、まず理解すべきなのは「日本法上の株式会社と名称は同じでも、法的性質が完全に一致する形態は存在しない」という点です。

多くの日本企業が混同しやすい主な理由は、ベトナムの「Công ty cổ phần」が日本語で便宜上「株式会社」と訳されることにあります。しかし、この訳称はあくまで概念的なものであり、日本の会社法における株式会社と同一であることを保証するものではありません。

結論として、日本法上の株式会社そのものをベトナムで設立することは不可能です。しかし、ベトナムの会社形態の中で共通点を持つ「株式会社(Joint Stock Company)」を選択することは可能であり、それが実務上で最も比較対象とされる形態となっています。この前提を誤ると、組織設計や経営管理において実務上のトラブルを招く恐れがあるため、注意が必要です。

2. ベトナムの株式会社と日本の株式会社の違い

2.1. 共通点

両者には「株主が出資する形態であること」「持分や株式の移転が可能であること」「複数の投資家から資金を調達しやすいこと」といった共通点があります。

こうした類似性から、規模の大きな事業や将来的な拡大を見据える日系企業にとって、ベトナムでの株式会社設立は最も身近な選択肢として紹介されるのが一般的です。

2.2. 法的性質の違い

共通点がある一方で、以下の3点において決定的な違いがあります。

  • 法的枠組みの差異:日本では株式会社の運営は高度に標準化されています。対してベトナムでは、企業法に基づきつつも、株主数や規模に応じて運営方法を柔軟に設計できる側面があります。
  • ガバナンス体制:ベトナムの株式会社は最低3名の株主が必要であり、株主総会や取締役会といった独自の統治構造が求められます。日本の標準的な管理体制をそのままベトナム株式会社設立に適用することはできません。
  • 実務上の運用:日本に比べ、ベトナムでは企業ごとに内部管理の厳格さに差が出やすい傾向があります。会社設立ベトナムを進める際は、「日本と同じ感覚で運営できる」という予断を排することが重要です。

2.3. 日本企業が留意すべき点

最も重要なのは、名称の類似性だけで判断しないことです。「株式会社 = 日本と同じ」と思い込み、日本のガバナンス体制をそのまま持ち込むと、意思決定権限や社内手続きに不整合が生じます。

ベトナム会社設立を成功させるためには、表面的な類似に惑わされず、現地法(ベトナム企業法)に即した独立したスキーム検討が不可欠です。

Setting up a JSC in Vietnam: Comparisons with Japan and VietNam's JSC - Comparison

3. ベトナムにおける株式会社と有限責任会社の比較

日本の制度との比較に加え、実務においては「株式会社と有限責任会社のどちらを選択すべきか」という視点が非常に重要です。

ベトナム進出を果たす日本企業に最も選ばれている形態は、有限責任会社(LLC)と株式会社(JSC)の2つです。その中でも、日系企業の進出モデルとしてより一般的なのは有限責任会社です。

両者の適性を簡潔にまとめると以下の通りです。

  • 有限責任会社:経営権を集中させたい、組織をシンプルに保ちたい、安定した親会社・子会社モデルを構築したい企業に最適。
  • 株式会社:出資者が多数に及ぶ場合や、将来的に外部からの柔軟な資金調達(増資)を計画している企業に適している。

株式会社は有限責任会社に比べ、ガバナンス体制が厳格に規定されており、意思決定プロセスが複雑化する傾向があります。多くの日本企業がベトナム会社設立において重視するのは、「管理のしやすさ」と「スピーディーな意思決定」です。そのため、日本の親会社による統制が効きやすい有限責任会社が優先的に選ばれるのが実情です。

4. なぜベトナムの日系企業の多くは有限責任会社を選ぶのか?

多くの日系企業が株式会社ではなく有限責任会社を選択する背景には、主に3つの理由があります。

① 管理と統制の最適化

外資100%の子会社を設立する場合、経営権の集中は最優先事項です。有限責任会社は組織構造がシンプルであり、管理階層を最小限に抑えられるため、日本の本社の意向を反映させやすいというメリットがあります。

② 初期の投資目的に合致

進出当初から不特定多数の投資家を募るケースは稀です。生産拠点の構築やサービス提供が主な目的である場合、複雑なガバナンスを必要とする株式会社よりも、有限責任会社のほうが合理的かつ効率的な選択となります。

③ 運用の明快さと法的リスクの軽減

株式会社に比べ、有限責任会社は実務上の運営ルールが明快です。現地の法制度や商習慣に慣れていない初期段階の企業にとって、手続きの煩雑さを避け、コンプライアンス維持の負担を軽減できることは大きな利点です。

「日本の株式会社と同じような形態を」という理由だけで安易にベトナム株式会社設立を目指すと、後々の運営で思わぬ障壁に直面することがあります。自社の投資目的を照らし合わせた結果、有限責任会社が正解だったというケースは非常に多く、これは会社設立ベトナムを成功させるための重要な判断基準と言えるでしょう。

Setting up a JSC in Vietnam: Comparisons with LLC and Japan's JSC - Comparison

5. 結論:日本企業はこの問題をどう考えるべきか?

以上の通り、ベトナムでの進出形態を検討する際、名称の類似性だけで「ベトナムの株式会社は日本のものと同じ」と判断するのは禁物です。重要なのは、自社の事業目的、投資規模、そしてベトナム独自の法制度に合致した形態を慎重に選択することです。

なお、外資企業によるベトナム会社設立では、投資登録証明書(IRC)および企業登録証明書(ERC)の取得など、複雑な行政手続きが伴います。法改正や実務運用の変更も頻繁にあるため、現地の専門家と連携しながら進めることが成功への近道となります。

FAQ – よくある質問

Q1. ベトナムで日本の株式会社と完全に同じ形態の会社を設立できますか?
A. 厳密にはできません。ベトナムには日本法上の株式会社と法的性質が完全に同一の形態は存在しません。ただし、ベトナム法に基づいた「株式会社(Joint Stock Company)」を設立することは可能です。

Q2. ベトナムの株式会社(JSC)と日本の株式会社は同じものですか?
A. いいえ、異なります。出資や資金調達の仕組みに共通点はありますが、最低株主数やガバナンス構造(統治機構)に関する規定はベトナム法独自のルールに従う必要があります。

Q3. ベトナムで日本の株式会社に最も近い会社形態は何ですか?
A. ベトナム法上の株式会社(JSC)です。しかし、あくまで概念的な類似に留まるため、実際の運営にあたってはベトナム企業法を正しく理解しておく必要があります。

Q4. 株式会社と有限責任会社のどちらを選ぶべきでしょうか?
A. 経営権の集中や運営のシンプルさを重視するなら「有限責任会社」、将来的な多角的な資金調達や上場を見据えるなら「株式会社」が適しています。

Q5. なぜ多くの日系企業は有限責任会社を選ぶのですか?
A. 100%出資の子会社モデルにおいて、管理のしやすさと意思決定の速さが最大のメリットとなるからです。会社設立ベトナムの実務において、最も効率的な形態として選好されています。

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