ベトナムで生活したり働いたりする外国人は、銀行、通信、在留手続き、オンラインサービスなど、さまざまな場面で「ID」「IDカード(ID Card)」「ID番号(ID Number)」の提示や入力を求められることがあります。しかし、ベトナムで外国人が使う「IDカード」は、特定の1種類の身分証明書だけを指すわけではありません。
ベトナムの身分証明書や在留関連書類の仕組みに慣れていない日本人にとって、パスポート、TRC(一時在留カード)、PRC(永住カード)、VNeIDなどは区別が分かりにくく、日本の在留カードやマイナンバーカードと同じようなものだと捉えてしまうこともあります。
実際には、これらの書類や本人確認・電子身分証明の仕組みには、それぞれ異なる役割があります。本記事では、ベトナムのIDカードとしての見方やそれぞれの違いをわかりやすく整理し、どのような場面でどの書類が使用されるのか、またVNeIDが外国人のパスポートや在留カードとどのように関係するのかを解説します。

1. ベトナムにおける「IDカード」は外国人にとって何を意味する?
ベトナムにおける外国人の「IDカード」は、必ずしも特定の1種類のカードだけを指すものではありません。利用目的によって、パスポート、TRC、PRC、またはVNeIDによる電子身分証明情報が求められる場合があります。
1.1. ベトナム人と外国人では身分証明書の仕組みが異なる
ベトナム国民と外国人では、使用する身分証明書の制度が異なります。そのため、ベトナムに居住するすべての外国人に、ベトナム国民のIDカードに相当する一律の「身分証明カード」が発行されるわけではありません。
実際には、外国人の本人確認や国籍の確認にはパスポートが基本的な身分証明書として使用されることが多く、TRC(一時在留カード)またはPRC(永住カード)は、ベトナムにおける在留状況に関係する書類です。外国人がどのような書類を所持するかは、それぞれの在留資格や在留条件によって異なります。
したがって、銀行、通信事業者、行政機関、オンラインフォームなどで「ID」の提示や入力を求められた場合、「ID=特定の1種類のカード」と思い込まず、具体的にどの書類が求められているのかを確認する必要があります。
1.2. 「ID」、在留関係書類、電子身分証明を区別する
簡単に整理すると、以下のように区別できます。
| 区分 | 主な役割 | 例 |
|---|---|---|
| 本人確認 | 本人の身元・国籍を確認する | パスポート |
| 在留状況の証明 | 一時在留または永住の状況を証明する | TRC、PRC |
| 電子身分証明 | 電子環境で本人確認・認証を行う | VNeID |
これら3つの区分は相互に関係していますが、同じものではありません。そのため、ベトナムのIDカードの見方として、「どのカードを使えばいいのか」と単純に考えるよりも、現在行っている手続きで必要なのが「本人確認」なのか、「在留状況の証明」なのか、それとも「電子的な本人認証」なのかを確認することが重要です。
外国人(特に日本人)に関してよく目にするのが、パスポート、TRC、PRC、VNeIDの4つです。それぞれの具体的な役割については、次のセクションで詳しく解説します。
2. パスポート、TRC、PRC、VNeIDとは?
ベトナムで外国人が「IDカード」の提示を求められた際、主にパスポート、TRC、PRC、VNeIDのいずれかが使用されます。ただし、正しい見方として、これらは本人確認、在留状況の証明、電子身分証明のそれぞれにおいて異なる役割を持っている点を押さえておきましょう。
2.1. パスポート(Passport)
パスポートは、外国人の本国が発行する身分証明書で、本人の身元や国籍を証明するために使用されます。ベトナムに滞在する日本人にとっては、出入国、滞在、本人確認などの各種手続きにおける最も基本的な身分証明書です。 パスポートには、氏名、生年月日、国籍、パスポート番号、有効期限などの重要な情報が記載されています。ただし、パスポート自体がベトナムにおける一時在留または永住の資格を証明する書類というわけではありません。
2.2. TRC ― 一時在留カード
TRC(Temporary Residence Card:一時在留カード)は、法令に定められた要件を満たす外国人に発行されます。このカードは、一定期間におけるベトナムでの一時在留状況を証明するものです。 日本人にとっては、日本の「在留カード」に近いものとしてイメージできますが、法制度上の位置付けや利用範囲は完全に同じではありません。また、TRCを所持していても、パスポートが不要になるわけではありません。
2.3. PRC ― 永住カード
PRC(Permanent Residence Card:永住カード)は、ベトナムで永住を許可された外国人に発行されます。 一時在留を対象とするTRCとは異なり、PRCは永住資格に関するものです。ただし、ベトナムに長期間居住しているだけで自動的にPRCが発行されるわけではありません。外国人がPRCの発行を受けるには、法令で定められた対象に該当し、所定の要件を満たす必要があります。
2.4. VNeID ― 電子身分証明
VNeIDは、電子環境における本人の識別・認証に利用されるベトナムの電子身分証明アプリおよびシステムです。日本人を含む外国人にとって、VNeIDはシステムに登録または連携された情報に基づく「デジタル本人確認のためのツール」と理解するのが適切です。
VNeIDはビザ(査証)ではなく、物理的な在留カードでもありません。また、あらゆる手続きにおいてパスポート、TRC、PRCを自動的に代替するものでもありません。現行制度において、外国人がVNeIDを登録するための条件や利用できる範囲については、本人の在留状況に応じて、手続きを行う時点で最新の規定や案内を確認する必要があります。
3. パスポート、TRC、PRC、VNeIDを比較
これら4つの書類・システムは、いずれもベトナムにおける外国人の情報確認に関係するものですが、利用目的、形態、在留状況との関係がそれぞれ異なります。
| 種類 | 概要 | 主な役割 | 対象者 | 形態 |
|---|---|---|---|---|
| パスポート(Passport) | 外国人の本国が発行する身分証明書 | 本人確認、国籍の証明、出入国手続き | 外国人 | 冊子形式の物理的な書類 |
| TRC(一時在留カード) | ベトナムでの一定期間の一時在留を証明する書類 | 一時在留状況の証明 | 発行対象となる外国人 | 物理カード |
| PRC(永住カード) | ベトナムでの永住を証明する書類 | 永住状況の証明 | 永住を許可された外国人 | 物理カード |
| VNeID | 電子身分証明システム/アプリ | 電子的な本人識別・認証 | 法令上の適用対象者 | 電子形式 |
ベトナムのIDカードの簡単な見方として、パスポートは主に「本人が誰で、どの国籍を有しているか」を確認するものです。TRCとPRCはベトナムにおける在留状況を示し、VNeIDは電子環境における本人の識別・認証に利用されます。
これらの違いを理解しておけば、各手続きの目的に応じてどの書類を使用すべきかを判断しやすくなります。具体的な選び方については、次のセクションの表で整理します。

4. どの書類を何に使う?日本人向けの選び方一覧
ベトナムでは、外国人があらゆる場面で使える万能な「IDカード」が1つあるわけではありません。手続きの目的に応じて必要な書類を確認することが重要です。以下の表では、日本人がどの書類を最初に確認すべきかを目的別に整理しています。
| 必要な場面 | まず確認する書類・情報 | 役割 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ベトナムへの出入国 | パスポート | 本人確認、国籍の証明、出入国手続き | 必要な場合は、ビザやその他の関連書類も確認する |
| ベトナムでの一時在留を証明する | TRC | 一時在留状況を証明する | TRCの発行を受けている人のみが対象 |
| 永住状況を証明する | PRC | 永住資格を証明する | PRCの発行を受けている人のみが対象 |
| 対面で本人確認を行う | パスポートまたは認められている身分証明書 | 個人情報を確認する | 必要書類は機関・組織によって異なる場合がある |
| オンラインで本人認証を行う | VNeIDまたはシステムで認められている認証方法 | 電子的な本人識別・認証 | 利用するサービスや登録状況によって異なる |
| 銀行・通信関連の手続きを行う | パスポート/TRC/PRCまたは指定された情報 | 本人確認および/または在留状況の確認 | 各機関・事業者の具体的な要件を確認する |
| 行政手続きを行う | 手続きによって異なる | 本人確認、在留状況または関連情報の確認 | 1種類の書類ですべて対応できるとは限らない |
💡 入力フォームでの注意点:「ID Number」について
オンラインフォームなどで「ID Number」を求められた場合、それが必ずしもパスポート番号を意味するとは限りません。情報を入力する前に、以下の点にご注意ください。
・「Document Type」や「ID Type」の項目、またはフォームの案内文を必ず確認してください。
・Passport、TRC、PRCのいずれかを選択した場合は、選択した書類に対応する番号を正しく入力する必要があります。
・明確な案内がない場合は、情報を提供する前に受付機関やサービス提供者へ直接確認することをおすすめします。
5. VNeIDはパスポートや在留カードとどのような関係がある?
VNeIDは電子的な本人識別・認証のためのツールであるのに対し、パスポート、TRC、PRCは、それぞれ本人確認、国籍、在留状況に関する固有の役割を持つ書類です。そのため、これらは相互に関係していますが、同じものではありません。
ベトナムのIDカードの正しい見方として、簡単に整理すると以下のようになります。
・パスポート: 本人確認および国籍の証明
・TRC/PRC: ベトナムにおける一時在留または永住の状況を証明
・VNeID: 電子環境における本人の識別・認証に利用
したがって、VNeIDを利用できるからといって、あらゆる場面でパスポート、TRC、PRCが不要になるわけではありません。日本人が各種手続きを行う際、その機関やサービスがVNeIDによる本人確認に対応しているのか、あるいは該当する原本書類の提示を求めているのかを確認することが重要です。
特に、外国人によるVNeIDの利用範囲は、その時点の法令や提供されているサービスによって異なる場合があります。そのため、ベトナムでVNeIDを登録・利用する際は、最新の公式案内を確認することをおすすめします。
6. まとめ
ベトナムにおける外国人の「IDカード」は、1種類のカードだけを指すものではありません。パスポートは本人確認および国籍の証明、TRCやPRCは在留状況の証明、VNeIDは電子的な本人識別・認証に利用されます。
各種手続きを行う際は、「1種類のIDですべて対応できる」と思い込まず、その手続きにおいて具体的にどの書類(情報)が求められているのかを確認することが重要です。
7. FAQ – よくある質問
Q1. ベトナムでは、外国人が使える専用の「IDカード」は発行されますか?
すべての外国人に共通して発行される「単一のIDカード」があるわけではありません。在留状況や利用目的に応じて、外国人はパスポート、TRC、PRC、またはVNeIDによる電子身分証明情報を使用することになります。
Q2. TRCはベトナムにおける外国人の身分証明カードですか?
完全に同じ意味ではありません。TRCは一時在留カードであり、主な役割は外国人のベトナムにおける「一時在留状況」を証明することです。一部の手続きでは本人確認にTRCを使用できる場合もありますが、ベトナム国民が持つIDカードと同等の「万能な身分証明カード」と捉えるのは正確ではありません。
Q3. 日本人はベトナムでVNeIDを登録できますか?
はい、条件を満たせば登録可能です。政令69/2024/NĐ-CPによると、ベトナムで一時在留カード(TRC)または永住カード(PRC)の発行を受けている外国人は、希望する場合、年齢や所定の条件に応じてレベル1またはレベル2の電子身分証明アカウントの発行を受けることができます。 ただし、規定や対象範囲は変更される可能性があるため、日本人を含む外国人がVNeIDを登録・利用する際は、その時点での最新の公式案内を必ず確認することをおすすめします。
Q4. TRCを持っていても、外国人にはパスポートが必要ですか?
はい、必要です。TRCとパスポートはそれぞれ役割が異なります。パスポートは本人確認および国籍の証明に使用される一方、TRCはベトナムにおける一時在留状況を証明するものです。そのため、TRCを持っていても、すべての手続きにおいてパスポートの代わりになるわけではありません。
「ベトナムのIDカードの正しい見方が分からない」「手続きにどの書類(パスポート、ビザ、TRC、PRC、VNeID)が必要か迷っている…」とお悩みの日本人・外国人の方へ。
Green Sun Vietnamでは、お客様の状況に応じた必要書類の確認から準備までを全面的にサポートしています。
・ビザ/eビザ、査証免除、入国条件に関するご相談
・TRC、PRC、労働許可証の申請書類サポート
・銀行、通信、賃貸、行政手続きなどで求められる必要書類の確認
・各種書類の翻訳、公証、領事認証・合法化のサポート
・VNeIDの登録・利用に必要な書類に関するアドバイス
※ 各種書類やアカウントの発行および受理の可否は、管轄する行政機関・関係機関の判断に委ねられます。
👉 ベトナムでの手続きや必要書類について、日本語またはベトナム語で、どうぞお気軽にGreen Sun Vietnamまでご相談ください!


ホーチミン支店コンサルタント
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