ベトナムに長期滞在する予定の日本人が最初に確認すべきなのは、「最も長く滞在できるビザはどれか」ではなく、「実際の滞在目的は何か」ということです。
就労、投資、家族帯同、あるいはまだ具体的な計画が決まっていない場合など、目的によって申請の根拠となる条件や必要書類は大きく異なります。方向性を誤ると、不要な書類の準備に時間とコストをかけてしまう可能性があります。
そのため、ベトナム長期滞在ビザを検討する際は、ご自身の経歴や資格、予定している活動内容、そして誰が保証人・招聘者となれるかを確認することが重要です。本記事では、ベトナムビジネスビザや各種滞在許可について、4つのケースに分けて適切な方向性を整理します。

1. ベトナムで働く場合、どの区分を確認すべきか?
ベトナムでの主な目的が就労である場合、「労働許可証(ワークパミット)が必要な外国人に該当するのか」、それとも「労働許可証の免除対象であるのか」をまず確認する必要があります。 外国人入出国管理法(統合文書第62/VBHN-VPQH号)の規定では、以下のように区分されています。
・LĐ1: 労働許可証の対象外(免除)であることの確認を受けた外国人
・LĐ2: 労働許可証が必要な外国人
ベトナム就労ビザの条件を確認する際は、ビザを選ぶ前に、まずはご自身の職務内容と労働関係書類を整理することが重要です。なお、現在の労働許可証に関する規定は、政令219/2025/NĐ-CPに定められています。
(例)
・労働許可証が必要な職位の場合:LĐ2の取得を検討する。
・労働許可証の対象外であることが確認できる場合:LĐ1の申請を進める。
【注意点】 実際には長期的に就労する予定であるにもかかわらず、手続きの手間を省くために、就労ビザの代わりにベトナムビジネスビザ(DN1/DN2など)を利用して長期間働くことは、不法就労となるリスクがあるため避けるべきです。
2. ベトナムで投資する場合、申請方針はどう選ぶ?
主な目的が投資である場合、ベトナム投資ビザは、「投資家としての資格」と「実際の申請書類」に基づいて選定する必要があります。法令上、投資ビザは出資額や投資活動に関する条件に応じて、ĐT1、ĐT2、ĐT3、ĐT4の4つに細かく区分されています。そのため、「ベトナム企業と何らかの関係がある(出資している)」という理由だけでは、どの区分を申請すべきか正確に判断できません。
申請手続きを進める前に、投資関連書類、出資額、そして投資家自身の資格を、現行のビザ記号に関する規定と照らし合わせる必要があります。
【申請前のチェックリスト】
・投資家としての適格性を確認する。
・実際の出資額(資本金)を確認する。
・事業ライセンスなどの投資関連書類を照合する。
・該当する投資区分で、ベトナムレジデンスカード(TRC:一時滞在許可証)を申請できる要件を満たしているか確認する。
投資ビザ(ĐT1~ĐT4)は、「最も長期間滞在できる種類はどれか」という基準で選ぶものではありません。このように事前確認を行うことで、単に滞在期間の長さでビザを選ぶのではなく、実際の申請根拠に基づいた適切なビザの種類を特定できます。 長期滞在を目的とする場合は、短期ビザを繰り返し延長することだけを考えるのではなく、ご自身の該当する区分でベトナムレジデンスカード(TRC)が取得できるかどうかを優先して確認・計画するとよいでしょう。
3. 配偶者や家族と一緒に滞在する場合、何を確認する?

ご家族と一緒にベトナムで生活すること(家族帯同)が目的の場合、「保証人(すでに滞在資格を持つ方)との関係」と、「その保証人の在留資格」をまず確認する必要があります。
家族帯同向けの「TTビザ」は、法令で定められた特定のビザを保有する外国人の配偶者および18歳未満の子どもなどに適用されます。また、ベトナム国民の親族である場合もTTビザの対象となります。
主に以下の2つのケースに分かれます。
・ケース1: 有効なビザまたはTRCを保有する外国人の親族として申請するTT
・ケース2: ベトナム国民の親族(配偶者・父母・子)として申請するTT
現行の規定では、一時滞在カード(TRC)を保有する外国人は、招聘・保証を行う機関または組織の同意を得ることで、カードの有効期間内に配偶者および18歳未満の子どもを呼び寄せ、一緒に生活することができます。
(例)
・ベトナムで合法的に就労している人に帯同する配偶者: TTビザを申請できる条件を満たしているか確認する。
・ベトナム国民の配偶者: 婚姻証明書など、親族関係を証明する書類を準備する。
※保証人が一時滞在カードを保有している場合は、その保証条件と適用される滞在期間の枠についても併せて確認が必要です。
4. ビザとベトナムレジデンスカード、どちらが必要か分からない場合
ベトナムに長く滞在したいものの、どの申請区分になるか分からない場合は、まず「実際の滞在目的」を明確にすることが最優先です。
例えば、ベトナムビジネスビザは、法令で認められた企業との業務連絡や商業活動などに利用できますが、就労ビザの代わりとして長期就労に利用することは避けてください。また、「ビザを持っていれば誰でも自動的にベトナムレジデンスカード(TRC)を取得できる」というわけではありません。
【ビザとTRC(一時滞在許可証):切り替えのタイミングは?】
ベトナムでの滞在計画が短期から長期へ変わり、就労・投資・親族関係などの適切な要件を満たした場合は、TRCへの切り替えを検討する価値があります。長期間にわたってビザの延長を繰り返す場合と比べ、TRCは安定した居住が確保でき、頻繁にビザを更新する手間とコストを削減できます。
一方で、基礎となる申請書類がまだ整っていない場合や、滞在目的が引き続き短期的なものである場合は、移行期間としてビザを利用し続ける方法が適しています。つまり、「どれくらい長く住みたいか」だけでなく、「TRCを申請できる法的根拠がすでに整っているか」を確認することが重要です。
【まとめ:最初に確認すべきポイントの整理】
これまで解説した内容を整理すると、以下のようになります。
| 実際の滞在目的 | 検討すべきビザ・資格の方向性 |
|---|---|
| 就労 | LĐ1/LĐ2の要件と、労働関係書類の確認 |
| 投資 | ĐT1~ĐT4の要件と、投資・出資関係書類の確認 |
| 家族帯同 | TTの要件と、保証人(親族関係)の根拠の確認 |
| 未確定 | まずはベトナム滞在中に行う実際の活動内容を明確にする |
この表を使えば、最初に確認すべきポイントを整理できます。該当する区分を確定した後で、ベトナムにおける外国人の出入国・居住に関する規定に基づき、必要な書類と適切な滞在期間を確認します。
5. まとめ
適切なベトナム長期滞在ビザを取得するには、まずはご自身の「本当の滞在目的」を明確にする必要があります。 就労する場合は労働関係の根拠、投資する場合は投資家としての要件、家族に帯同する場合は保証人との関係をそれぞれ確認しましょう。また、長期滞在を前提とする場合は、該当する区分で「ベトナムレジデンスカード(TRC)」が申請できるかどうかも併せて確認しておくことをお勧めします。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. ベトナム長期滞在ビザは独立したビザの種類ですか?
A. いいえ。「長期滞在ビザ」という特定のビザが存在するわけではありません。これは長く滞在したいというニーズを表す総称であり、法令上のビザは就労、投資、親族帯同、企業との業務など、目的や資格に応じて細かく区分されています。そのため、まずは在留の根拠となる目的を確定させることが重要です。
Q2. ベトナムビジネスビザがあれば長期間働けますか?
A. いいえ、ビジネスビザ(DN1/DN2など)を就労目的で長期利用することはできません。ビジネスビザは法令で定められた範囲の企業活動や商業活動に関連するものです。実際にベトナムで長期間就労する場合は、労働許可証の取得、または免除要件を満たしているかを別途確認する必要があります。入国目的と実際の活動が一致しない場合、ビザの延長不可や罰則などのリスクが生じる可能性があります。
Q3. 投資家はベトナム投資ビザを自由に選べますか?
A. いいえ。投資ビザ(ĐT1~ĐT4)は、それぞれ具体的な出資額や投資条件に基づいて区分されています。申請者は「長く滞在できるから」という理由だけで選ぶのではなく、実際の投資関連書類、出資額、投資家ご自身の資格を現行の規定と照らし合わせて適切な種類を選択する必要があります。
Q4. 配偶者に帯同する場合、ベトナムレジデンスカードを申請できますか?
A. 該当する条件を満たしていれば申請可能です。ただし、保証人の在留資格、家族関係の証明、TT(家族帯同)区分の適用条件をクリアする必要があります。「配偶者や親子関係がある」という理由だけで、帯同家族に一時滞在カードが自動的に発給されるわけではありません。
Q5. どのビザを選べばよいか分からない場合、最初に何を準備すべきですか?
A. まずは、「ベトナムでの滞在目的」「予定している仕事や投資活動」「保証人となる個人・組織」「家族関係を証明する書類」「現在の在留状況」について整理してみてください。これらの情報を整理することで、就労・投資・家族帯同のうち、どのビザ・在留資格が適切かを判断しやすくなります。
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「就労、投資、家族帯同のどの区分を選ぶべきか分からない」「一時滞在カードの要件を満たしているか確認したい」といった場合は、予定している滞在目的・期間、現在お持ちの書類の状況をぜひお気軽にご共有ください。 Green Sun Vietnamがお客様の状況を的確に把握し、適切なビザまたは在留資格の取得に向けた最適な方向性を整理するお手伝いをいたします。


ホーチミン支店コンサルタント
ダン・バオ・ファン
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