ベトナムでの事業活動が現在の経営戦略に合わなくなった場合、企業には主に2つの選択肢があります。将来の再開に備えて「ベトナムでの事業一時停止」を選ぶか、「ベトナムでの会社解散」により法人を消滅させ、長期的な「ベトナムからの撤退」を図るかです。

両者は法的地位、税・会計、労務、債務、再開の可能性において大きく異なります。特に、2026年の企業登録規定の改正により、古い情報での判断は禁物です。

法令の最新情報:

本記事は、2025年改正の2020年企業法、政令第168/2025/NĐ-CP号、2026年7月23日施行の政令第296/2026/NĐ-CP号など、2026年10月5日時点の現行法令に基づいています。

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1. 事業一時停止と会社解散の本質的な違いとは?

ベトナムでの事業一時停止は法人を存続させたまま活動を一時的に休止することであり、会社解散は法人の消滅に向けた手続きです。 つまり、前者は「一時的な休止」、後者は完全な「ベトナムからの撤退」を目的とする場合に適しています。

事業一時停止の場合、期間満了後の再開だけでなく、手続きを経た前倒し再開も可能です。現行規定では、一時停止や前倒し再開の届出を、予定日の3営業日前までに企業登録機関へ提出する必要があります。

また、新政令()により、1回の停止期間は最長12か月、連続合計で最長24か月に制限されました。届出期間の終了後は、法定代理人が新たな規定に従って事業再開の確認手続きを行わなければなりません。

一方、ベトナムでの会社解散は、単なる販売活動の停止や実務的なベトナム法人の閉鎖とは異なります。企業は関連義務を完全に処理し、所定の手続きを経て、法的な登録ステータスを「解散済み」に変更する必要があります。

2. ベトナムでの事業一時停止と会社解散:7つの基準で比較

どちらを選ぶかは、手続きの負担だけでなく、実施後に生じる影響を総合的に踏まえて判断することが重要です。

比較項目事業一時停止会社解散
法人の状態法人は存続する法人の消滅に向けて手続きを進める
事業再開の可能性将来的な事業再開が可能解散した法人をそのまま再開することは不可
税務法定の停止期間を満たす場合、特例措置あり事業終了に伴う税務上の義務処理が必要
会計既存の会計業務が完全に免除されるわけではない事業終了時の会計資料、数値、関連義務の整理が必要
労務人員体制に応じ、雇用契約や関連義務への対応が必要従業員の権利保護と関連義務の処理が必要
期間1回最長12か月、連続合計で最長24か月(現行規定)企業状況により異なり、決まった所要期間はない
未処理事項のリスク既存の義務は自動的に消滅しない未処理の義務が解散手続きの完了を妨げるリスクあり

税務面では、事業一時停止の期間が「暦月・四半期・暦年・会計年度」の全期間をカバーしているかの確認が必須です。法令が定める期間全体の停止要件を満たせば、該当期間の税務申告書の提出が免除される場合があります。しかし、期間を満たさない場合は、引き続き対象期間の税務申告が必要です。

また、事業一時停止の届出を行っても、それ以前に発生した納税義務(未納税額、延滞金、未提出の申告書など)が消滅するわけではありません。 これらは法令に従い継続して処理する必要があるため、「一時停止=すべての税務・納税義務の免除」ではない点に十分注意してください。

3. ベトナムでの事業一時停止を選ぶべきケースとは?

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ベトナムでの事業一時停止は、完全な「ベトナムからの撤退」を意図しておらず、既存法人を維持する明確な理由がある企業に適しています。 具体的には、市場回復や親会社の判断待ち、事業再編の進行中、あるいは撤退前の投資効果の再評価などが挙げられます。

最大のメリットは、会社を再設立する手間を省きつつ、事業再開の可能性を残せる点です。ただし、無期限の継続は不可であり、新政令(第296/2026/NĐ-CP号)により連続する停止期間の合計は最長24か月と制限されています。

また、2026年の新規定では、停止期間中であっても登録・届出事項に変更が生じた場合、所定の手続きを行う義務が追加された点に注意が必要です。

したがって事業一時停止は、企業が今後の方針を見極めるための「猶予期間」と捉えるべきであり、「ベトナムでの会社解散」に代わる長期的な解決策ではありません。

4. ベトナムでの会社解散を選ぶべきケースとは?

ベトナムでの会社解散は、法人維持の必要性が消滅し、完全な「ベトナムからの撤退」を決断した場合に適しています。具体的には、親会社の撤退決定、対象顧客・プロジェクトの消滅、あるいは維持コストの採算割れなどが挙げられます。

ただし、事業終了の決定のみで即座に解散できるわけではありません。解散には、全債務や財産上義務の完済、および裁判・仲裁での係争がないことが絶対条件です。この「事前義務処理」の原則は企業法に明記され、現行の登記手続きにも反映されています。

政令第168/2025/NĐ-CP号に基づく任意解散では、企業は解散決議・決定を7営業日以内に企業登録機関へ提出し、全債務の完済後、5営業日以内に解散登記書類を提出しなければなりません(なお、政令第296/2026/NĐ-CP号により第64条の関連規定がさらに改正されています)。

そのため、「ベトナム法人の閉鎖」に要する実際の期間は企業状況により大きく変動します。特に税務、債務、労務、従属事業所(支店等)、そして未完了手続きの有無が、スムーズな撤退に向けた重要な判断要素となります。

5. 税務・会計・労務・債務等は「ベトナムからの撤退」判断にどう影響する?

長期的な「ベトナム法人の閉鎖」を希望していても、未処理の義務が多い企業の場合、解散を完了する前にそれらを整理する段階(猶予期間)が必要になることがあります。

・税務: 未提出の申告書や未納税額、事業終了に伴う義務の確認が必須です。現行法令(2026年7月1日施行のおよび通達第89/2026/TT-BTC号など)に基づく対応が求められます。
・会計: 事業一時停止を理由に、既存の会計データや証憑整理は省略できません。会社解散の場合は、税務処理と並行して帳簿の締め処理が必要です。
・労務: 一時停止の届出で雇用契約は自動終了せず、一方的な無給休暇の強制も不可です。適切な合意形成と法的根拠の確認が必要です。解散時は、法定の弁済順位に従い従業員の権利を処理します。
・債務・紛争: 未払債務や係争中案件がある場合、解散登記書類を提出するだけで撤退が完了するわけではありません。

FDI(外資系)企業の場合、法人の状態と投資プロジェクトの状態を分けて確認・処理する必要があります。

法人の「ベトナムでの事業一時停止」や解散手続きを行うだけで、投資プロジェクトや投資登録証明書(IRC)に関する義務が自動的に完了するわけではありません。両者は別々の法的手続きを要します。

そのため、撤退や一時停止の計画を立てる前に、プロジェクト資産や関連義務を精査し、該当プロジェクトを「継続・一時停止・終了・譲渡」のいずれの方法で処理するのかを事前に明確にすることが極めて重要です。

6. 判断フロー:「ベトナムからの撤退」における事業一時停止と会社解散の選び方

判断する際は、「事業再開の予定 → 法人維持の必要性 → 未処理の義務 → 投資関連事項」の順にステップを踏んで確認します。

・【はい】かつ、現在の法人を維持する必要がある → 事業一時停止を検討

・法定の停止期間、未処理の税務・会計・報告義務、雇用関連の義務を確認。
・FDI企業の場合は、投資プロジェクトとIRCの状況を別途確認。

・【はい】だが、現在の法人は維持しない → 法人維持と会社解散のメリット・デメリットを比較検討。
・【いいえ】 → 次のステップ②へ

・【いいえ/支払不能の兆候がある】 → 事業再建・破産手続きを別途検討(※通常の解散手続きは適用できません)。
・【はい】 → 次のステップ③へ

・【いいえ】 → 会社解散の前に未処理事項を整理(税務処理、債務完済、従業員への義務履行、支店等の手続き、書類整備など)。
・【はい】 → 次のステップ④へ

・【はい】 → 紛争の解決を最優先する。
・【いいえ】 → 会社解散を本格的に検討(FDI企業の場合は、投資プロジェクト、IRC、プロジェクト資産等の処理も併せて確認)。

小括: 一時的な休止なら「ベトナムでの事業一時停止」、長期的かつ完全な撤退なら「ベトナムでの会社解散」を検討します。完全撤退を希望しても多額の未処理債務がある場合は、まずそれらを整理する猶予期間が必要です。

まとめ:「ベトナム法人の閉鎖」に向けた最適な選択を

すべての企業に共通する撤退方法はありません。一時的な経営困難であり、将来の事業再開を見据える場合は、「ベトナムでの事業一時停止」を優先的に検討すべきです。 一方、市場からの長期的な撤退を決定し、法人を維持する必要がないのであれば、「ベトナムでの会社解散」が適しています。

ただし実施前には、税務・会計・労務・債務・係争状況の確認に加え、「ベトナムのFDIの解散」特有の投資プロジェクト状況の精査が不可欠です。 これらを事前に確認することで、すぐに解散手続きを進められるか、あるいは正式な法人閉鎖の前に未処理事項を整理すべきかを正確に判断できます。

FAQ(よくある質問)

はい。一時停止は「ベトナム法人の閉鎖」とは異なり、法人は存続し、法令に従って事業を再開できます。

2026年7月23日施行の新規定により、1回の届出につき最長12か月、連続合計で最長24か月と制限されています。

法定条件を満たせば、該当期間の税務申告書の提出が免除される場合があります。ただし、税目や既存の納税義務は個別に確認する必要があり、全ての義務が免除されるわけではありません。

いいえ。会社解散には法定条件に従った債務・義務の処理が必須です。未払債務等は、解散手続きを完了する前に必ず整理しなければなりません。

はい、可能です。ただし、解散には別途法定要件を満たす必要があり、一時停止期間が解散手続きの代わりになるわけではありません。

完全に同じではありません。投資プロジェクトを持つFDI企業は、通常の解散手続きに加え、現行法令に基づくプロジェクト状況、IRC(投資登録証明書)、資産、関連義務の処理・確認が必須となります。


長期的な「ベトナムからの撤退」を決断した企業にとって、次なる重要なステップは、法人が消滅する前に未処理事項を整理し、確実な手続き計画を策定することです。

Green Sun Vietnamでは、各企業の状況に合わせた最適な「ベトナムでの会社解散」サービスを提供しています。必要書類の確認・整理から、企業登録、税務、会計、労務、未履行義務に関する手続きの調整までを総合的にサポートいたします。 また、FDI企業様に対しては、投資プロジェクトや関連書類の状況も含めた専門的な撤退計画の策定をご支援します。

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