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ベトナムでの会社設立を検討する際、多くの外国人投資家が最初に気になるのが「資本金はいくら必要なのか」という点です。資本金は単なる資金面の問題ではなく、投資申請書類の内容、許認可取得の可能性、事業運営計画、さらにはプロジェクトの信頼性にも大きく関わります。

実際、ベトナムではすべての業種や会社形態に対して、一律の最低資本金が定められているわけではありません。適切な資本金の額は、事業内容、事業規模、設立場所、人件費、オフィス賃料、設備投資額、さらには事業開始後の売上計画など、さまざまな要素によって異なります。

特に日本企業や日本人投資家にとっては、ベトナム会社設立を進める前に、資本金と投資総額の違いを正しく理解し、自社に適した資本金を設定することが重要です。資本金が低すぎる場合は事業計画の実現性に疑問を持たれる可能性があります。一方で、過大な資本金を設定したにもかかわらず期限内に出資できない場合、法務面や財務管理面で深刻なリスクが生じることもあります。

本記事では、ベトナム会社設立に必要な資本金の考え方をはじめ、資本金と投資総額の違い、業種別の適切な資本金の目安、そしてベトナム会社設立の流れについて分かりやすく解説します。

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Intro Image - Guide to determining company establishment capital in Vietnam

1. ベトナム会社設立では最低資本金が必要なのか

原則として、ベトナムではすべての業種に対して一律の最低資本金が定められているわけではありません。コンサルティング業、商社、IT企業、企業向けサービス、輸出入業などの一般的な業種については、法律上、共通の最低資本金は規定されていません。

しかし、それは投資家が自由に資本金を設定できるという意味ではありません。ベトナムでの会社設立申請を審査する際、管轄当局は事業計画の実現可能性を踏まえて資本金の妥当性を判断します。つまり、資本金は業種、事業規模、そして申請書類に記載された事業計画に見合った金額である必要があります。

例えば、小規模なコンサルティング会社の場合、初期費用の中心はオフィス賃料や人件費、管理費となるため、多額の資本金を必要としないケースが一般的です。一方で、製造業の場合は工場の賃借、設備の購入、原材料の調達、人材採用などが必要となるため、より高額な資本金が求められる傾向があります。

ベトナム会社設立の資本金について考える際、「最低基準を満たせば十分」と考えるのは適切ではありません。実際には、投資プロジェクトごとに個別の事情が考慮されます。

資本金の額に影響する主な要素として、以下が挙げられます。

・登録する事業内容
・オフィス、店舗、工場、倉庫などの規模
・予定している従業員数
・初期投資額
・売上計画および資金繰り計画
・商品、設備、原材料の輸入ニーズ
・事業が収益を生み出すまでの期間

したがって、適切な資本金とは単に申請書類に記載する数字ではなく、投資家の財務能力や事業計画の実現可能性を示す重要な指標でもあります。

多くの業種では最低資本金の規定がありませんが、ベトナムには法定資本金や特定の財務要件が設けられている「条件付き業種」も存在します。これらは、市場や消費者への影響が大きい業種、公共の安全に関わる業種、または専門的な監督が必要な業種に多く見られます。

例えば、不動産、金融、保険、教育、物流、人材紹介サービス、一部の特殊な商業活動などでは、資本金要件や追加ライセンス、外国人投資家の出資比率に関する条件が設けられている場合があります。

そのため、資本金を決定する前に、自社が参入を予定している業種が条件付き業種に該当するかどうかを確認することが重要です。事前に確認しておくことで、後から資本金や事業内容、投資スキームの修正が必要になるリスクを避けることができます。

法定資本金が求められない業種であっても、投資家は実際の事業運営に必要な資金を基準として資本金を設定する必要があります。許認可機関は、申請された資本金で本当に事業を実施できるかどうかを確認します。

例えば、製造会社が工場賃料や設備投資額に対して極端に低い資本金を設定した場合、事業計画の実現性について疑問を持たれる可能性があります。また、輸入販売を行う商社であるにもかかわらず、取扱規模に比べて資本金が著しく少ない場合も、計画の信頼性が十分ではないと判断されることがあります。

このように、「最低資本金はいくらか」という視点ではなく、「この業種・この事業モデルで安定的に事業を運営し、投資計画の実現可能性を示すためには、どの程度の資本金が適切か」という観点から検討することが重要です。

2. 資本金と投資総額の違いを正しく理解する

ベトナム会社設立の手続きを行う際、外国人投資家がよく目にする用語として「資本金」と「投資総額」があります。両者は密接に関連していますが、同じ意味ではありません。

これらを正しく理解していない場合、設立手続きや投資申請書類の作成、さらには会社設立後の出資手続きにおいて問題が発生する可能性があります。

資本金とは、会社の所有者、出資者または株主が会社に出資することを約束した金額を指します。資本金は会社設立時の登録書類や定款に記載される重要な項目です。

資本金には以下のような役割があります。

・投資家の財務的なコミットメントを示す
・出資比率や株式保有割合の基準となる
・出資額の範囲内で責任を負う根拠となる
・取引先、金融機関、行政機関に対する信用力の一部となる

外国資本企業の場合、資本金は会社設立後に定められた期限内に払い込まなければならない金額でもあります。

投資総額とは、ベトナムで投資プロジェクトを実施するために必要と見込まれる総資金額のことです。外国人投資家の場合、この概念は投資登録証明書(IRC)の申請時に重要な要素となります。

投資総額には、以下のような資金源や主な支出が含まれます。

・投資家からの出資金(資本金)
・借入金
・その他の合法的な調達資金
・オフィスや工場の賃料
・設備投資費用
・人材採用費用
・初期運営費用
・その他プロジェクト実施に必要な費用

つまり、資本金は会社に出資する「自己資金」を指し、投資総額はプロジェクト全体の「資金規模」を示すものです。

資本金と投資総額を混同すると、会社設立や事業運営においてさまざまな問題が生じる可能性があります。

例えば、資本金だけを重視して投資総額の計画を十分に立てていない場合、事業計画の説得力に欠ける可能性があります。一方で、投資総額を過大に設定した場合には、資金計画や出資スケジュールの説明負担が大きくなるリスクがあります。

製造業を例にすると、工場の賃借、設備購入、運転資金の確保などのために大きな投資総額が必要になることがあります。しかし、その全額を資本金として設定する必要はありません。一部は借入金やその他の資金調達によって賄うことも可能です。

そのため、ベトナム会社設立を計画する際には、以下を明確にしておくことが重要です。

・資本金として出資する金額
・プロジェクト全体に必要な総資金額
・自己資金と借入金の割合
・各資金を使用するタイミング
・設立後、定められた期限内に出資を完了できるかどうか

3. ベトナム会社設立における資本金は事業モデルに応じて決めるべき

ベトナム会社設立に必要な資本金は、すべての企業で同じではありません。商社、IT企業、コンサルティング会社、製造工場では必要となる資金規模が大きく異なります。

そのため、資本金を決定する際には、一般的な相場だけを参考にするのではなく、自社の事業モデルを基準に検討することが重要です。

商社や輸出入企業では、取扱商品の規模や取引頻度、初期運営コストに応じて資本金を設定する必要があります。 主な費用としては以下が挙げられます。

・オフィス賃料
・人件費
・商品仕入れ費用
・在庫確保費用
・物流費・倉庫費用
・通関関連費用
・マーケティング費用
・営業活動費用

仲介業務中心の場合は比較的少額の資本金でも運営可能ですが、自ら輸入・保管・販売を行う場合には、十分な資本金を準備する必要があります。

企業やソフトウェア開発会社の場合、初期投資の中心は人材と運営環境です。 製造業と比較すると工場や大型設備は不要ですが、エンジニア採用や自社サービス開発を行う場合には一定の資金が必要になります。 主な費用は以下の通りです。

・エンジニア給与
・管理職人件費
・オフィス賃料
・PC・ソフトウェア
・サーバー

・クラウド利用料

・法務・会計費用
・製品開発費

特に設立後すぐに売上が発生しない場合は、一定期間事業を継続できる資金計画を考慮して資本金を設定することが重要です。

コンサルティング会社をはじめとする専門サービス業(市場調査、マーケティング、デザイン、企業支援など)は、一般的に製造業や小売業と比べて必要な資本金が少ない傾向があります。

その理由は、これらの事業モデルでは大量の在庫や工場、特殊な設備を必要としないためです。主なコストは、人件費、オフィス運営費、そして顧客開拓や営業活動に関連する費用となります。

しかし、必要資本金が比較的少ない業種であっても、投資家は安定した事業運営が可能であることを示せる水準の資本金を準備する必要があります。予定している従業員数や市場開拓計画に対して資本金が極端に少ない場合、事業計画の実現性に疑問を持たれる可能性があります。

製造業は、事業開始前に多くの設備投資が必要となるため、一般的に他の業種よりも高い資本金が求められます。ベトナム会社設立においても、資本金の設定を特に慎重に検討すべき業種の一つです。 主な初期投資費用として、以下のような項目が挙げられます。

・工場の賃借または建設費用
・生産設備および製造ラインの導入費用
・原材料の輸入・調達費用
・作業員の採用および研修費用
・電気・水道・倉庫などの運営費用
・環境関連許可、消防許可、その他業種別ライセンス取得費用

製造業では、資本金が低すぎる場合、プロジェクトを実際に遂行する能力が不足していると判断される可能性があります。そのため、資本金を決定する前に、必要な投資額や運営コストを明確に試算し、現実的な資金計画を立てることが重要です。

小売店、レストラン、カフェ、消費者向けサービス業などのビジネスモデルでは、必要な資本金は立地条件、店舗面積、内装工事費、そして事業規模によって大きく異なります。

小規模な店舗と、都市部の大型レストランやチェーン店舗とでは、必要な資金規模が大きく異なります。また、一部の小売業やサービス業では、営業許可、食品安全関連手続き、消防許可、労務管理、税務対応などの追加の許認可や要件を満たす必要がある場合があります。 主な初期費用として、以下の項目が挙げられます。

・店舗賃料および保証金
・内装工事費・設備投資費
・初期商品仕入れ費用
・従業員の採用・研修費用
・オープン時のマーケティング費用
・開業後数か月間の運転資金

このような業種では、事業開始直後の売上が想定どおりに伸びないケースも考慮し、現実的な事業計画に基づいて資本金を設定することが重要です。

4. 業種別に見るベトナム会社設立の資本金の考え方

事業モデルだけでなく、業種特有の事情もベトナム会社設立における資本金の設定に大きく影響します。業界ごとに必要な設備、運営コスト、法的なライセンス要件が異なるため、それぞれの業種に適した資金計画を立てる必要があります。

商社や輸出入関連企業の場合、資本金は主に以下の要素によって決まります。

・取扱商品の予定取引額
・仕入れから支払いまでのサイクル
・物流コスト
・在庫維持費用
・ターゲット市場の規模

小規模な仲介業務や取引の支援のみを行う場合は比較的少額の資本金でも対応可能です。しかし、自社で輸入・販売・流通までを一貫して行う場合は、仕入れ資金や運転資金を十分に確保できる資本金が必要になります。

製造業は、多額の初期投資が必要となるため、一般的に高い資本金が求められます。 主な投資・費用項目には以下が含まれます。

・工場施設の建設

・賃借

・生産ラインの構築
・機械設備の導入
・原材料の調達
・人件費
・品質管理システムの導入
・環境対策・労働安全関連費用

投資申請時には、これらの費用をどのように賄うのかを明確に示し、事業実施能力を客観的に証明することが重要です。

物流関連企業では、事業インフラへの以下のような投資が必要になります。

・倉庫施設の確保
・在庫管理システムの導入
・輸送車両の購入

・リース(必要な場合)

・ITシステムの構築
・運営スタッフの採用

また、事業開始後すぐに顧客数が計画どおりに増加しない可能性も考慮し、一定期間の運転資金を余裕をもって確保しておく必要があります。

教育分野では、一般的に以下の要素に関する投資が重視されます。

・教育施設の確保および整備
・教育プログラムの開発・導入
・優秀な講師陣の採用
・関連ライセンスの取得費用

そのため、資本金は開設予定の教育機関や語学センター、研修センターなどの規模に応じて適切に設定する必要があります。

小売店、飲食店、サービス業では、主に以下の初期費用が発生します。

・店舗物件の取得・賃料
・内装工事費
・設備投資
・初期在庫の仕入れ
・オープン時のマーケティング費用
・人件費

事業が損益分岐点に到達するまでの期間を慎重に考慮し、その間の運営資金を十分にカバーできる資本金を設定することが非常に重要です。

Body Image - How to choose the right capital for setting up a company in Vietnam

5. ベトナム会社設立の資本金を決める際の重要なポイント

ベトナム会社設立における資本金の設定は、法的要件だけでなく、事業戦略や実際の資金力も踏まえて総合的に検討する必要があります。

「資本金は低いほど有利(リスクが少ない)」と考える投資家もいますが、実際には以下のようなデメリットがあります。

・事業計画の説得力が低下する
・プロジェクトの実施能力を客観的に証明しにくくなる
・当局や取引先に財務基盤への不安を持たれる可能性がある
・銀行からの融資や信用を得にくくなる

特に外国資本企業の場合、審査当局は「事業計画の実現可能性」と「資本金のバランス」を非常に重視するため、注意が必要です。

一方で、必要以上に高額な資本金を設定することも、必ずしも望ましいとは言えません。想定されるリスクとして、以下が挙げられます。

・期限内の出資義務(資金拠出)に対する負担
・出資者としての財務的な責任の増加
・事業計画や投資規模を変更する際の手続き負担
・実際には使用しない資金を不必要に拘束してしまうこと

そのため、資本金は実際の事業運営に必要な水準に合わせて、適正に設定することが重要です。

適切な資本金を決定する前に、少なくとも設立後12〜24か月間の具体的な資金計画を作成することをおすすめします。検討すべき主な項目は以下のとおりです。

・人件費
・オフィスや工場の賃料・維持費
・日常の運営費
・マーケティングおよび営業費用
・法務・会計関連の専門家費用
・予備費(想定外の出費への備え)

このような綿密な計画を立てることで、感覚的ではなく、根拠に基づいた合理的な資本金を設定できるようになります。

ベトナムでは、業種や進出する地域(省・市)によって、当局の審査基準や見解が異なるケースが多々あります。経験豊富な専門家へ事前に相談することで、以下のようなメリットが期待できます。

・自社のビジネスモデルに最適な資本金の設定
・申請書類の手戻り(修正)リスクの回避
・許認可取得までの期間短縮
・投資スキーム全体の最適化

6. まとめ

ベトナム会社設立に必要な資本金に、一律の基準はありません。 適切な資本金は、業種、事業モデル、投資規模、そして将来の事業計画によって異なります。

そのため、単に最低資本金を確認するだけではなく、実際の運営に必要な資金を見据えた現実的な資金計画を立てることが重要です。適切な資本金を設定することで、許認可取得をスムーズに進められるだけでなく、ベトナムでの長期的な事業成長の確固たる基盤を築くことができます。

7. FAQ

A. すべての業種に最低資本金の規定があるわけではありません。商業、コンサルティング、IT、各種サービス業など多くの分野では、ベトナムの法令上、一律の最低資本金は定められていません。ただし、登録する資本金は事業規模や投資計画の実現可能性に見合った妥当な金額である必要があります。

A. 「資本金」とは、投資家が企業へ自己資金として出資することを約束した金額であり、企業登録書類に記載されるものです。一方、「投資総額」とは、プロジェクト実施のために必要な全体の資金規模を指し、資本金に加えて借入金やその他の合法的な資金調達手段も含まれます。

A. 必ずしもそうではありません。資本金を高く設定しすぎると、出資期限内に資金を拠出する負担が大きくなり、企業の財務上の責任も増加します。一方で、資本金が低すぎる場合は、投資計画の実現性が低いと判断される可能性があります。実際の事業計画や資金需要に応じた、適切な金額を設定することが重要です。

A. 会社設立後、投資家は企業登録証明書(ERC)の交付日など、関連法令で定められた期限内(原則として90日以内)に出資を完了する必要があります。期限内に出資できない場合、罰金などの法的リスクが発生したり、投資登録証明書(IRC)やERCの修正手続きが必要になるリスクがあります。

A. 資本金は、事業内容、運営コスト、人員計画、事業所の規模、そして設立後12〜24か月間の事業計画を基準に検討することが推奨されます。すべての企業に共通する「標準的な金額」は存在しないため、詳細な資金計画を作成したうえで自社に適した資本金を設定することが重要です。

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